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〔100歳になっても安心して活きる家づくり〕
第3回 モノを整理し「減築」して防災に心がける
公開日:2018年8月 7日 10時59分
更新日:2019年2月 1日 21時06分
天野 彰(あまの あきら)
建築家
免震や耐震よりも防災の意識が重要
「天災は忘れた頃にやってくる」。東大教授で物理学や地震学の研究者で随筆家の寺田寅彦(1878~1935年)は、1923年(大正12年)に起きた関東大震災の体験から説いた言葉である。だから「緊張感や心構えを忘るべからず」と。しかし残念ながら「喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる」のとおり、日頃の忙しさにかまけ、つい疎かにしてしまうのがこの防災対策。
しかし、この20、30年の間にかなりの高率で大地震がやってくることは確かである。2003年にはこの30年の間に、東京は直下型か東海地震の起こる確率はもっとも高く「明日起きても不思議ではない」といわれ、すでに12年が経つ。しかも、東海、東南海、南海地震が同時に連鎖して起こる巨大地震の場合、マグニチュ-ドは8.5と予測され、被害は過去最大級。津波は1分足らずで来て、津波警報など確認する暇もないほど。家屋は倒壊し、ライフラインは止まり、道路は寸断され、消火活動や救助は困難となり、火災が被害を大きくさせるという。
今までも筆者がコラムや拙著でうるさく述べているが、行政に頼らず自らのちょっとした心がけと家の手入れが身を守る。防災は「セルフディフェンスの考え」と「想像力」が大切といえる。
そこで提案したいのが「セルフディフェンスの家」(図1)である。城塞のような防火壁(防波壁)の中に中庭を設け、住みやすい木造の家を建てるというもの。今ある家の一部屋を「減築」して中庭にし、その外壁を耐火材や防火戸やシャッターなどで固め、強靭な塀で囲む防災強化のリフォームだ。当時、たまたま訪れた中国・永定の客家(はっか)の土楼(とうろう)の住み方を参考にした。
図1:防災のための「セルフディフェンスの家」。城壁のような防火壁の中に中庭を設け、住みやすい木造の家を表す図。
図1:中庭式の「セルフディフェンスハウス」
"モノの奴隷"ではなく"助けたいモノ"を手元に
改めて今の家を見てみよう。子育てのためだった広い家をこれからの夫婦のために、思い切って「減築」してコンパクトにする。掃除も楽で省エネルギー。防災対策費も廉価になる。そんなとき目の前に立ちはだかるのが「モノ」。子どもたちが残したモノ、着ることもない衣服、書籍など・・・。なんと"モノの奴隷"になっている。
東日本大震災の被災者の声を聞くと、よく耳にするのは「モノなんて生かしてくれない。安心が欲しい!」と。「この身が助かったことに感謝!」とも。しかし「何を持ち出したかったか?」の問いには、多くの人が「位牌や家族の記念の品だ」という。「助け出してやりたいモノを身の回りに置くべきだった」とは心に残る言葉だ。
以来、私は減築や建て替えに際して、「もし今この家が丸焼けになると仮定したとき、何を持って逃げたいと思います?」と聞くことにしている。突然の私の問いにギョッとし、キョトンとする建て主。この失礼で"極端な仮想"ながら、ほとんどの建て主が何を持って逃げようとまでは言わずとも、何かすっと心が晴れたような表情となり、さらに「よしやろう!」という気分となる。実はこのことが防災にも大きく関わることになる。
収納は生活の場とモノの位置を合わせる
家を狭くしている最大の原因は溢れるモノ。それらのモノを入れるモノ、すなわち収納家具も家を狭くする。住まいの間取りは住む人の生活とその営み、つまり人の"するコト"優先でその場をつくる。すなわち「場取り」が重要である。部屋を廊下に沿って並べるのではなく、人の動きに合わせて"するコト"で「場」を並べる。収納もまた同様、人の動きに合わせてモノを配置する。
この"するコト"に合わせたモノの収納には1つのルール、いや法則がある。それはモノの配置を「場取り」(図2)と合わせることで、これこそ「収納のマトリックス」といえる。人の"するコト"の「場」で手を伸ばせばモノが出てくるという、まさに収納の「場取り」もある。
図2:人の動きに合わせて「場」と「収納」を配置する収納のマトリックスを表す図。
図2:「収納のマトリックス」
これはリフォームでも新築でも同様で、その「場」の邪魔な間仕切り壁を壊して"空け"たり、反対にあえて壁をつくらず、収納棚を配置する。こうして壁であったところに単行本などが何千冊も納まってしまう。これを壁収納(写真)といい、自在にプランを変更することができる。しかも床から天井まで一体となり収納家具が地震で転倒する心配もない。不思議なことにこの造り付けの棚の中のモノは揺れが増すことがなく、倒れたり飛び出したりすることが少ない。
写真:間仕切りと収納を一体化した収納壁の写真。地震で収納家具が転倒する心配もなく、モノが整理されます。
写真:間仕切り壁に大量の本が・・・。(筆者オフィス収納壁)
こうして人の"するコト"と収納を一体にすることで、家族がそれぞれ今必要なモノ、大切なモノがはっきりとし、その場と季節に必要ないモノを順に遠ざけ、納戸や倉庫に置く。これによってモノはかなり整理され収納は最小で済む。
さあ、これでモノは最少に。しかも災害時にモノや収納に逃げ場を阻まれることもない。家族それぞれの大切なデータや記念品などはいつでも持ち出せて、危険を冒すこともない。
老いの住まいとなるこれからの家は、こうしてモノを整理することで今までの人生が思い出され、さらにこれから何が大切かを考えさせてもくれる。まさしくすっきりとして想像力が増す。
これからの人生と最小の「わが身の住み処」をつくることが「減築」の最大の目的で、これによって必ず必要となる「防災」も具体的に考えることができ、その対処もできる。まさしく安心の「わが身の住み処」となる。
筆者_天野彰氏
Photo/H.Nishida
天野 彰(あまの あきら)
建築家。一級建築士事務所アトリエ4A主宰。建築家集団「日本住改善委員会」を組織し、生活に密着した住まいづくりやリフォーム、医療・老人施設までを手がける。設計の傍らTV、講演、雑誌と多方面で活躍。
著書
『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『脳が若返る家づくり 部屋づくり』(廣済堂)など多数
〔100歳になっても安心して活きる家づくり〕
第3回 モノを整理し「減築」して防災に心がける
公開日:2018年8月 7日 10時59分
更新日:2019年2月 1日 21時06分
天野 彰(あまの あきら)
建築家
免震や耐震よりも防災の意識が重要
「天災は忘れた頃にやってくる」。東大教授で物理学や地震学の研究者で随筆家の寺田寅彦(1878~1935年)は、1923年(大正12年)に起きた関東大震災の体験から説いた言葉である。だから「緊張感や心構えを忘るべからず」と。しかし残念ながら「喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる」のとおり、日頃の忙しさにかまけ、つい疎かにしてしまうのがこの防災対策。
しかし、この20、30年の間にかなりの高率で大地震がやってくることは確かである。2003年にはこの30年の間に、東京は直下型か東海地震の起こる確率はもっとも高く「明日起きても不思議ではない」といわれ、すでに12年が経つ。しかも、東海、東南海、南海地震が同時に連鎖して起こる巨大地震の場合、マグニチュ-ドは8.5と予測され、被害は過去最大級。津波は1分足らずで来て、津波警報など確認する暇もないほど。家屋は倒壊し、ライフラインは止まり、道路は寸断され、消火活動や救助は困難となり、火災が被害を大きくさせるという。
今までも筆者がコラムや拙著でうるさく述べているが、行政に頼らず自らのちょっとした心がけと家の手入れが身を守る。防災は「セルフディフェンスの考え」と「想像力」が大切といえる。
そこで提案したいのが「セルフディフェンスの家」(図1)である。城塞のような防火壁(防波壁)の中に中庭を設け、住みやすい木造の家を建てるというもの。今ある家の一部屋を「減築」して中庭にし、その外壁を耐火材や防火戸やシャッターなどで固め、強靭な塀で囲む防災強化のリフォームだ。当時、たまたま訪れた中国・永定の客家(はっか)の土楼(とうろう)の住み方を参考にした。
図1:防災のための「セルフディフェンスの家」。城壁のような防火壁の中に中庭を設け、住みやすい木造の家を表す図。
図1:中庭式の「セルフディフェンスハウス」
"モノの奴隷"ではなく"助けたいモノ"を手元に
改めて今の家を見てみよう。子育てのためだった広い家をこれからの夫婦のために、思い切って「減築」してコンパクトにする。掃除も楽で省エネルギー。防災対策費も廉価になる。そんなとき目の前に立ちはだかるのが「モノ」。子どもたちが残したモノ、着ることもない衣服、書籍など・・・。なんと"モノの奴隷"になっている。
東日本大震災の被災者の声を聞くと、よく耳にするのは「モノなんて生かしてくれない。安心が欲しい!」と。「この身が助かったことに感謝!」とも。しかし「何を持ち出したかったか?」の問いには、多くの人が「位牌や家族の記念の品だ」という。「助け出してやりたいモノを身の回りに置くべきだった」とは心に残る言葉だ。
以来、私は減築や建て替えに際して、「もし今この家が丸焼けになると仮定したとき、何を持って逃げたいと思います?」と聞くことにしている。突然の私の問いにギョッとし、キョトンとする建て主。この失礼で"極端な仮想"ながら、ほとんどの建て主が何を持って逃げようとまでは言わずとも、何かすっと心が晴れたような表情となり、さらに「よしやろう!」という気分となる。実はこのことが防災にも大きく関わることになる。
収納は生活の場とモノの位置を合わせる
家を狭くしている最大の原因は溢れるモノ。それらのモノを入れるモノ、すなわち収納家具も家を狭くする。住まいの間取りは住む人の生活とその営み、つまり人の"するコト"優先でその場をつくる。すなわち「場取り」が重要である。部屋を廊下に沿って並べるのではなく、人の動きに合わせて"するコト"で「場」を並べる。収納もまた同様、人の動きに合わせてモノを配置する。
この"するコト"に合わせたモノの収納には1つのルール、いや法則がある。それはモノの配置を「場取り」(図2)と合わせることで、これこそ「収納のマトリックス」といえる。人の"するコト"の「場」で手を伸ばせばモノが出てくるという、まさに収納の「場取り」もある。
図2:人の動きに合わせて「場」と「収納」を配置する収納のマトリックスを表す図。
図2:「収納のマトリックス」
これはリフォームでも新築でも同様で、その「場」の邪魔な間仕切り壁を壊して"空け"たり、反対にあえて壁をつくらず、収納棚を配置する。こうして壁であったところに単行本などが何千冊も納まってしまう。これを壁収納(写真)といい、自在にプランを変更することができる。しかも床から天井まで一体となり収納家具が地震で転倒する心配もない。不思議なことにこの造り付けの棚の中のモノは揺れが増すことがなく、倒れたり飛び出したりすることが少ない。
写真:間仕切りと収納を一体化した収納壁の写真。地震で収納家具が転倒する心配もなく、モノが整理されます。
写真:間仕切り壁に大量の本が・・・。(筆者オフィス収納壁)
こうして人の"するコト"と収納を一体にすることで、家族がそれぞれ今必要なモノ、大切なモノがはっきりとし、その場と季節に必要ないモノを順に遠ざけ、納戸や倉庫に置く。これによってモノはかなり整理され収納は最小で済む。
さあ、これでモノは最少に。しかも災害時にモノや収納に逃げ場を阻まれることもない。家族それぞれの大切なデータや記念品などはいつでも持ち出せて、危険を冒すこともない。
老いの住まいとなるこれからの家は、こうしてモノを整理することで今までの人生が思い出され、さらにこれから何が大切かを考えさせてもくれる。まさしくすっきりとして想像力が増す。
これからの人生と最小の「わが身の住み処」をつくることが「減築」の最大の目的で、これによって必ず必要となる「防災」も具体的に考えることができ、その対処もできる。まさしく安心の「わが身の住み処」となる。
筆者_天野彰氏
Photo/H.Nishida
天野 彰(あまの あきら)
建築家。一級建築士事務所アトリエ4A主宰。建築家集団「日本住改善委員会」を組織し、生活に密着した住まいづくりやリフォーム、医療・老人施設までを手がける。設計の傍らTV、講演、雑誌と多方面で活躍。
著書
『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『脳が若返る家づくり 部屋づくり』(廣済堂)など多数
『美しい彼』萩原利久“平良”と八木勇征“清居”が紡ぐハッピーエンドのその先
2023.02.08
TVerで無料視聴!
ハッピーエンドのその先を見たい人もいれば、見たくない人もいる。
恋は、結ばれた瞬間がクライマックス。そこからはゆるやかに下っていくだけ。日常に陳腐化されていく愛に幻滅するくらいなら、ずっと幻想のまま閉じ込めていたい。そんな気持ちも確かにわかる。
けれど、ドラマイズム『美しい彼』(シーズン2)(MBS、毎週火曜24:59~/TBS、毎週火曜25:28~)はハッピーエンドのその先を行く。
そこに待っているのは、成功したフォーマットの焼き直しじゃない。もっと甘美な熱狂の始まりだ。
【動画】『美しい彼』平良(萩原利久)、清居(八木勇征)の前髪をかき上げ…
寒波対策に必要なのは、八木勇征です
これが夢ならば、どうか醒めないでほしい。そんな平良一成(萩原利久)みたいなことを願ってしまった。
このドラマを観ていると、僕は息を吐くことさえ大罪に思えてしまう。自分が吐いた二酸化炭素が、画面越しに平良と清居奏(八木勇征)の神聖な世界を汚してしまったら……。ありもしないことを想像して、でも2人の世界をずっと見続けることができるなら、どんな罰も甘んじて受けよう。と、喜びに震える。
凪良ゆうの原作の中で噛みしめてきた、平良と清居の同棲生活。それがついに萩原利久と八木勇征で見られる。その破壊力は、想像を遥かに超えてきた。
目覚めのベッド。平良が、清居の前髪をいとおしそうにかき上げる。額があらわになった清居は、眉の凛々しさが際立って、平良と同じタイミングでつい口にしてしまった、「奇跡だ」と。
美しき清居を神のように讃え崇める平良と、平良に神としてではなく恋人として接してほしい清居。果てしないほど求め合いながら、まるで噛み合わない2人の関係はシーズン2でも変わらない。
平良一成(萩原利久)、清居奏(八木勇征)
平良一成(萩原利久)、清居奏(八木勇征)
特にこの第1話では、いつ捨てられてもおかしくないと思っている平良と、いつか誰かにとられてしまうことが不安で仕方ない清居の対比が鮮やかに描かれていて、「好き」という出発点は同じなのに、こんなにも見えている景色や心の内が正反対な平良と清居に、地球上のいとしさを全部かき集めて爆発させたような気持ちになる。
個人的には、2人の寝室がダブルベッドとかじゃないのがたまらない。平良がもともと使っていたベッドを清居が使い、平良はかしずく従者のように横にエキストラベッドをくっつけるだけ。そんなところが“ひらきよ”らしい。
コップに立てかけた2人分の歯ブラシに、色違いの半纏。あの頃にはなかったいくつものアイテムが、平良家を彩っている。
清居は思った以上に甘えたがりで、揚げたてのエビコロを前に「あーん」と口を開けて待っているのに、平良はそれに気づかない。
平良が女の子に連絡先を渡されて怒るところも、偉そうなのに、いじけた子犬みたいで。洗面所で「平良のくせに、モテやがって」とヤキモチを妬くところも、「今日は、するからな」と恥ずかしそうに視線を落として下唇を噛むところも、八木勇征が己のパラメータを「可愛さ」に全振りし、観る者の中枢神経を焼き焦がす。
たぶん地球にサーモグラフィをかけたら、『美しい彼』を視聴している世帯だけ局部的に真っ赤になっている。八木勇征がいれば一瞬で体温上昇。これはもう生きるヒートテックだわ。最強寒波対策に必要なのは、エアコンでも湯たんぽでもなく、八木勇征です。
もはや事務所の人の前でコーヒーを飲んでいるときさえ両手持ちで、いつの間にかナチュラルボーンお姫様になっているし、ドレスアップした平良にまごつきながら「惚れ直すくらい、イケてる」と言って、その恥ずかしさに耐えきれなくなって平良を蹴り上げるところとか最強ワガママプリンセス。平良だけが、キングをお姫様に変える魔法を使えるのだ。
“ひらきよ”を見られるなら大増税も納得しそう
萩原利久も猛威を振るっている。「昨日、しつこくしすぎたから」も「今日も、いいの?」も、文字だけ見ればおじさん感がすごいのに、平良ならキモいけど最高になってしまう。
うじうじと悩んでいるくせに、清居がコーヒー代を払おうとした瞬間、いきなり俊敏になって自分のスマホをかざす“下僕”魂が平良らしいし、せっかく清居にオシャレにしてもらったのに「(マシ)になったような気がしないでもないみたいな感じがしないでもないんだけど……」と自己評価が小学1年生のサドルの位置より低い。そんな“卑屈な王様”を萩原利久が骨の髄まで平良となって生きてくれるから、みんな平良が好きになる。平良の気持ちにうなずいてしまう。
どのシーンも「これが見たかった」というものばかりで、こんな幸せな景色を無料で拝ませてもらったら、もうこの後、どんな不幸が訪れても致し方ないというレベル。いきなり大増税とかされても、「まあ、あの“ひらきよ”を見られたしな……」と納得してしまう(でも増税は嫌です)。
さらに、TVドラマ『美しい彼』公式ビジュアルブックのためだけに凪良ゆうが書き下ろした「金木犀」のエピソードを汲んだ場面もあり、まさに原作とファンに最大のリスペクトを払った仕上がりとなっている。
こんな幸福を、ドラマ、さらに映画と味わえるなんて……。これから始まるハッピーエンドのその先に、もう正気を保てる自信はない。
2023.02.08
TVerで無料視聴!
ハッピーエンドのその先を見たい人もいれば、見たくない人もいる。
恋は、結ばれた瞬間がクライマックス。そこからはゆるやかに下っていくだけ。日常に陳腐化されていく愛に幻滅するくらいなら、ずっと幻想のまま閉じ込めていたい。そんな気持ちも確かにわかる。
けれど、ドラマイズム『美しい彼』(シーズン2)(MBS、毎週火曜24:59~/TBS、毎週火曜25:28~)はハッピーエンドのその先を行く。
そこに待っているのは、成功したフォーマットの焼き直しじゃない。もっと甘美な熱狂の始まりだ。
【動画】『美しい彼』平良(萩原利久)、清居(八木勇征)の前髪をかき上げ…
寒波対策に必要なのは、八木勇征です
これが夢ならば、どうか醒めないでほしい。そんな平良一成(萩原利久)みたいなことを願ってしまった。
このドラマを観ていると、僕は息を吐くことさえ大罪に思えてしまう。自分が吐いた二酸化炭素が、画面越しに平良と清居奏(八木勇征)の神聖な世界を汚してしまったら……。ありもしないことを想像して、でも2人の世界をずっと見続けることができるなら、どんな罰も甘んじて受けよう。と、喜びに震える。
凪良ゆうの原作の中で噛みしめてきた、平良と清居の同棲生活。それがついに萩原利久と八木勇征で見られる。その破壊力は、想像を遥かに超えてきた。
目覚めのベッド。平良が、清居の前髪をいとおしそうにかき上げる。額があらわになった清居は、眉の凛々しさが際立って、平良と同じタイミングでつい口にしてしまった、「奇跡だ」と。
美しき清居を神のように讃え崇める平良と、平良に神としてではなく恋人として接してほしい清居。果てしないほど求め合いながら、まるで噛み合わない2人の関係はシーズン2でも変わらない。
平良一成(萩原利久)、清居奏(八木勇征)
平良一成(萩原利久)、清居奏(八木勇征)
特にこの第1話では、いつ捨てられてもおかしくないと思っている平良と、いつか誰かにとられてしまうことが不安で仕方ない清居の対比が鮮やかに描かれていて、「好き」という出発点は同じなのに、こんなにも見えている景色や心の内が正反対な平良と清居に、地球上のいとしさを全部かき集めて爆発させたような気持ちになる。
個人的には、2人の寝室がダブルベッドとかじゃないのがたまらない。平良がもともと使っていたベッドを清居が使い、平良はかしずく従者のように横にエキストラベッドをくっつけるだけ。そんなところが“ひらきよ”らしい。
コップに立てかけた2人分の歯ブラシに、色違いの半纏。あの頃にはなかったいくつものアイテムが、平良家を彩っている。
清居は思った以上に甘えたがりで、揚げたてのエビコロを前に「あーん」と口を開けて待っているのに、平良はそれに気づかない。
平良が女の子に連絡先を渡されて怒るところも、偉そうなのに、いじけた子犬みたいで。洗面所で「平良のくせに、モテやがって」とヤキモチを妬くところも、「今日は、するからな」と恥ずかしそうに視線を落として下唇を噛むところも、八木勇征が己のパラメータを「可愛さ」に全振りし、観る者の中枢神経を焼き焦がす。
たぶん地球にサーモグラフィをかけたら、『美しい彼』を視聴している世帯だけ局部的に真っ赤になっている。八木勇征がいれば一瞬で体温上昇。これはもう生きるヒートテックだわ。最強寒波対策に必要なのは、エアコンでも湯たんぽでもなく、八木勇征です。
もはや事務所の人の前でコーヒーを飲んでいるときさえ両手持ちで、いつの間にかナチュラルボーンお姫様になっているし、ドレスアップした平良にまごつきながら「惚れ直すくらい、イケてる」と言って、その恥ずかしさに耐えきれなくなって平良を蹴り上げるところとか最強ワガママプリンセス。平良だけが、キングをお姫様に変える魔法を使えるのだ。
“ひらきよ”を見られるなら大増税も納得しそう
萩原利久も猛威を振るっている。「昨日、しつこくしすぎたから」も「今日も、いいの?」も、文字だけ見ればおじさん感がすごいのに、平良ならキモいけど最高になってしまう。
うじうじと悩んでいるくせに、清居がコーヒー代を払おうとした瞬間、いきなり俊敏になって自分のスマホをかざす“下僕”魂が平良らしいし、せっかく清居にオシャレにしてもらったのに「(マシ)になったような気がしないでもないみたいな感じがしないでもないんだけど……」と自己評価が小学1年生のサドルの位置より低い。そんな“卑屈な王様”を萩原利久が骨の髄まで平良となって生きてくれるから、みんな平良が好きになる。平良の気持ちにうなずいてしまう。
どのシーンも「これが見たかった」というものばかりで、こんな幸せな景色を無料で拝ませてもらったら、もうこの後、どんな不幸が訪れても致し方ないというレベル。いきなり大増税とかされても、「まあ、あの“ひらきよ”を見られたしな……」と納得してしまう(でも増税は嫌です)。
さらに、TVドラマ『美しい彼』公式ビジュアルブックのためだけに凪良ゆうが書き下ろした「金木犀」のエピソードを汲んだ場面もあり、まさに原作とファンに最大のリスペクトを払った仕上がりとなっている。
こんな幸福を、ドラマ、さらに映画と味わえるなんて……。これから始まるハッピーエンドのその先に、もう正気を保てる自信はない。
#2023年日剧冬季档#
星降る夜に03
遺品にはその人の生き様が詰まってるからさ。今っていう時代もよく見えてくるし。
生まれるも死ぬも、同じ人生のうちだから。
恋はさざ波なんだから、押したり、引いたり。
【分割线】
我现在真的变了!年下怎么会这么甜啊!!!呜呜呜!我以前根本不吃年下的!!
星降る夜に03
遺品にはその人の生き様が詰まってるからさ。今っていう時代もよく見えてくるし。
生まれるも死ぬも、同じ人生のうちだから。
恋はさざ波なんだから、押したり、引いたり。
【分割线】
我现在真的变了!年下怎么会这么甜啊!!!呜呜呜!我以前根本不吃年下的!!
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