二赖子第二季 杠精批判系列.2
聊胜于无的成长：旧角色们

上次说到第二季这帮写手最擅长的就是技术性煽情，而技术性煽情用得最多的地方，就是所谓的角色成长。

骂到这个部分，我还是警告一下吧：谈角色不像看设定矛盾只需要客观分析，而是会掺杂大量个人三观。但毕竟我就是带着主观偏见来骂的，我骂我开心，所以到这儿就不装什么理中客了。

仔细回想一下，第二季的几个角色个人回，高光都是些什么呢？

3章的慧斗就跳过了，这一章不是慧斗的成长，反倒是神将鼠（神将的名字都太麻烦了，以后都这么称呼）成长了，然后给了慧斗外挂。
10章的纹也不能说是成长，不如说是补了个设定（掏出观众不知道的回忆杀，对观众来说本质上就只是给角色补设定）。（关于纹，以后会详骂。）
12章的未知只能说是水逆，遇到了那种是个人都会有的不太顺的时期，（毕竟前两个进化到究极体的都有神将助攻，未知本人主观上没犯任何错就被甩在了后面，）然后被大德趁虚而入，脑控了。后来被来了一发友情破颜拳（并没有破颜拳），醒了。这就好比说是一个人本来很健康，因为季节变化感冒了，后来吃药打针，病好了。说白了就是恢复了常态、回到原点而已。这也不能说是什么成长吧，最多也就是发现该早点跟搭档兽谈谈，加了一波羁绊值。（关于实施友情没有破颜拳的沙罗，以后会详骂。）
15章的拓己跟未知也差不多，相当于不幸被反派卡住了命脉，只好当恶人。同时又是主线剧情的受害者，从回忆杀来看多路早就知道事情的缘由了，然而限于主线展开进度，硬是拖了全篇3/4的篇幅都没说，结果话一说出来就好了。给人观感很恶劣，有种“屁大点事早说不就完了”的雷声大雨点小的失望感。但这是剧情安排的锅，倒也不能完全怪到角色塑造上。
19章的刺猬，基本上就是把第一季终盘又给复刻了一遍，甚至观感比第一季还差。前面大德的脑控看着简直无懈可击，结果主角轻飘飘喊一声刺猬就给破了。拜托，篇幅不够就不要给敌人那么多描写，没有经过势均力敌对抗得来的胜利就只是日常而已。炒冷饭炒得还贼难吃，刺猬的成长也约等于无了。

5章的真由，是连日推都一堆人夸的一个，也是个人感觉角色成长无中生有最严重的一个。作为典型，单独拎出来说。

真由什么情况呢？获得了一个出国留学进修做甜点的机会，本来【大家都为她高兴她也就顺水推舟准备去的】，结果被人说了一句「要是你本人没有意愿的话，可是会后悔的哦」，就开始迷茫了。此后回忆杀就反反复复地提及「我只要一被问到自己该怎么做时，就会驻足原地，不知如何是好」这类的自我评价，看起来真由的问题就是主观意志不强、不擅长自己做决定咯？
结果最后醒悟的是什么呢？「事到如今我才明白，自己只是在害怕。我无法信任受到大家期待的自己……害怕到头来只会让大家失望，对这份不安视而不见，装出一副迷惘的样子……我要变强到不会输给这样的恐惧！」

……不不不，朋友，停一停，你压根就是在答非所问啊？？？到头来你只是觉得强到不会让别人失望就好了，这不还是在满足别人，压根没自己做选择吗？？？
我们先不提自己做选择的事，先谈“害怕让人失望”这头。是真由这个人原本很弱所以容易让人失望吗？——并不是。同样在第5章，真由果敢制止了纹跟和真吵架说要先解决眼下的问题，无限龙攻击的时候也迅速做了判断让麒麟去打歪炮筒。和真也反复夸赞真由很厉害。——可见真由原本实力就很强，也完全没让人失望。
那真由是“觉得”自己很弱会让人失望——也就是说，不自信吗？（且不说无论虚构还是现实中，这种大家都说流啤还一直“谦虚”自己很弱的人都很容易遭反感。）让我们回到事情的一开头：真由获得留学机会的时候，大家都觉得留学是好事为她高兴，她本人也觉得看在大家都说好的份上那就去吧，而且已经开始打听留学的经验了——即，已经开始做留学的准备了。也就是说，如果没在打听留学经验的时候被人说“自己没意愿会后悔”的话，她完全没觉得自己担不起大家的期待，大家一高兴，她就立马风风火火地开始行动了——你这不是压根没想过自己会做不到，很有自信的嘛？？？

那现在又回头来看另一边，“自己要有意愿”这个问题怎么样了呢？从后面一晃而过的台词「我都不希望彼此没来由地互相伤害」也看得出来，真由的主观意愿其实就是“让大家都开心”。但实际上呢？真由纠结的迷茫的时候，回忆杀里就已经明说了：「我会开始做点心的理由也一样。……我就有了希望能让大家欢笑、高兴的念头。」也就是说，真由的主观意愿打从一开始就十分明确，还是“让大家都开心”。
那，问题究竟是啥？？？
让我们来整理一下：
真由是一开始没有主观意愿，后来才有的吗？——不是。被说“自己要有意愿”之前，她做点心就是为了让大家高兴；被说了之后也一样，想让大家都和和气气。
那她是一开始没整理清楚自己的主观意愿，后来想清楚了吗？——也不是。她想清楚的不是主观意愿，而是发现自己真正的问题是“没自信”。
那她是一开始没自信，后来才有的吗？——仍然不是，在被说“自己要有意愿”之前，她为了大家开心就已经准备留学了；只是被这句话当头一棒后，短暂地吓蒙了而已。
——然而奇怪的是，吓蒙她的那个问题，她明明自始至终都有自己的答案。
所以这压根就只是毫无道理地让角色自降等级而已啊？？？

我以为的角色成长，是在平地上立一个坡，让角色爬到更高处；而二赖子第二季的“角色成长”，是在平地上挖一个坑把角色扔进去，然后让角色重新爬回平地。未知和拓己的例子里，这个坑好歹还来得合情合理，坑后的平地也好歹比坑前的平地高了那么一丢丢（毕竟学会了跟兽沟通，虽然这在我的观念里也只不过是驯兽师应有的基本素养）；而真由的例子里，就完全是无中生坑，坑前坑后的平地还都在一条水平线上。
这可以说是本作“虚晃一枪，假装成长”最过分的一次了。

然而5章却被广泛拍手叫好，到底是哪里好呢？
经常被拿出来吹的，是麒麟鼓励真由的那段台词：
「这就是你的温柔。因为体贴他人而迷惘……为了让大家展露笑容而停下脚步……」虽然前面也分析过了，本来真由这人压根就没有迷茫来着。
「而像这样驻足、烦恼过后……你总是能决定自己前进的方向不是吗？」反问句。
「之所以会烦恼、痛苦，也都是因为你没有逃避的关系。你怎么可能会……没有成长呢？」反问句×2。
「即便迷惘、驻足，我仍然相信真由你……没问题的。」“迷惘”这类的关键词和夸赞用语反复出现4次了。
「选择方向的这点时间，我会帮你争取。因为我……是真由你的伙伴。」最后掏心掏肺。
再回想一下12章沙罗说服未知，15章多路拓己对谈，19章刺猬自述，是不是也是一系列的排比句、反问句、感叹句、反复划重点、相互认可、互诉衷肠？
这就是所谓的技术性煽情，本作编剧最擅长的事情或许没有之一。这一套猛药下来，论谁都遭不住。没办法，谁叫人类都喜欢听彩虹屁，更何况还是换着花样反复听呢？
我不是说技术性煽情不可取，技巧当然是编剧很重要的能力。然而二赖子第二季这剧本糟就糟在，当把技术性煽情的水分抽干之后，会发现核心内容——真正的角色成长——只不过是经过一个坑而已，甚至——连那个坑都是假的。
说难听点，金玉其外败絮其中罢了。

（篇2完）

​远死近生

远死而近生

有名而无形

上句见《移精变气论》：

上帝之所贵也，先师之所传也

上古使僦贷季理色脉而通神明

合之金木水火土四时八风六合

不离其常，变化相移

以观其妙，以知其要

欲知其要，色脉是矣

色以应日，脉以应月

常求其要，则其要也

夫色之变化

应四时之脉

上帝所贵

合于神明

远死近生

生道以长

命曰圣王

细品此文

可得“远死而近生”之旨

下句见《阴阳系日月》：

夫阴阳者，

有名无形，

数之可十，

离之可百，

散之可千，

推之可万，

此之谓也

阴阳

是对事物属性的概括

而不是专指某些事物

故曰，有名而无形

若以阴阳

概括万物

数不胜数

《阴阳离合》：

阴阳者，

数之可十，

推之可百，

数之可千，

推之可万，

万之大

不可胜数，

然其要一

《五运行大》：

天地阴阳，

不以数推，

以象之谓

从《内经》看道医：

三、诊道：

望(色/神)、

闻(声音)、

问(防止五过四失)、

切(三部九候之脉)

1.道医的持诊之道：

持诊之道

先后阴阳

(察度阴阳之气机)

而持之

诊合微之事，

追阴阳之变，

章五中之情；

其中之论，

取虚实之要，

定无度之事，

知之乃足以诊

知丑知善，知病知不病，

知高知下，知坐知起，

知行知止，用之有纪，

诊道乃具，万世不殆

起所有余，知所不足。

度事上下，脉事因格。

是以

诊有大方，坐起有常，

出入有行，以转神明

必清必净，

上观下观，

司八正邪，

别五中部，

按脉动静，

循尺滑涩

寒温之意，

视其大小，

合之病能，

逆从以得，

复知病名，

诊可十全

不失人情，

故诊之或

视息视意，

故

不失条理，

道甚明察，

故能长久

不知刺刀，失经绝理，

亡言妄期，此谓失道

2. 

望闻问切

要做什么？

善诊者，

察色(望)

按脉(切)，

先别阴阳，

审清浊

知部分

视喘息，

听音声(闻)，

而知所苦

观权衡规矩，

而知病所主

按尺寸、

观浮沉滑涩

而知病所生以治

能别阴阳十二经者，知病之所生；

候虚实之所在者，能得病之高下；

知六腑之气街者，能治解结契绍于门户；

能知虚实之坚软者，知补泻之所在；

能知六经标本者，可以无惑于天下

色脉者，上帝之所贵也

色合五行，

脉合阴阳，

色(表/阳)之变化

以应四时之脉

(里/阴)，

道在于一，

以合神明，

远死近生，

生道以长，

命曰圣王

为何看面色

可用于诊病

十二经脉、

365络

其血气

皆上于面

而走空窍：

精阳气-->目；

别气-->耳；

宗气-->鼻；

浊气-->唇舌；

气之津液-->面

面色与眼神

乃气之华也

为什么诊脉

诊寸口之脉

因寸口位

为手太阴

肺气之所

肠胃吸收消化后

营养要入肺成津液

再统一输送不同的

营养至五脏(阴脉)，

即五脏气于寸口

当

胃气无法与脏气

同时贯注于肺经，

真脏之气(脉)独现，

病邪

已完全破坏

其脏之功能，

必死

人迎与寸口相应，

若引绳小大齐等，

命曰平

知一(问其病而知其处)命曰工，

知二(按其脉而知其病)命曰神，

知三(见其色而知其病)命曰神且明矣

善调尺(之皮肤)者

审其尺之

缓急、

大小、

滑涩、

肉之坚脆，

病形定矣，

不待于寸；

善调脉者

不待于色

能参合

而行之

可以，为上工，上工十全九；

行二，为中工，中工十全七；

行一，为下工，下工十全六

四、治道

1. 

食疗中的

五味之道：

日常生病时

食疗是人们

普遍采用的

一种治法

《黄帝内经》：

病在筋，无食酸(酸走筋)；

病在气，无食辛(辛走气)；

病在骨，无食咸(咸走骨)；

病在血，无食苦(苦走血)；

病在肉，无食甘(肝走肉)；

口嗜欲食，

不可多矣，

必自裁也

这从

反的方面，告诉我们：

如何地吃，是不好的

病时还要，减少进食；

同时也提到：

辛甘发散为阳

酸苦涌泄为阴

咸味涌泄为阴

淡味渗泄为阳

以所利而行之

调其气使其平

可以如何，利用五味

进行有效的正面食疗：

风淫于内：

治以辛凉

佐以苦

以甘缓之

以辛散之；

热淫于内：

治以咸寒

佐以甘苦

以酸收之

以苦发之；

湿淫于内：

治以苦热

佐以酸淡

以苦燥之

以淡泄之；

火淫于内：

治以咸冷

佐以苦辛

以酸收之

以苦发之；

燥淫于内：

治以苦温

佐以苦辛

以苦下之；

寒淫于内：

治以甘热

佐以苦辛

以咸泻之

以辛润之

以苦坚之

2. 九针之术，针道：

黄帝为何在

具体方法上

选用针刺为主

不用其他(例如

导引、汤药等)

除人之疾苦

这是我在阅读《黄帝内经》时

一直盘绕在脑海中的一个问题

读完之后认为原因有以下几点：

①《移精变气论》：

不同时代人的

特点已经不同

上古之人

运动阴居、

淡泊名利

仅

导引祝由即可：

安定心情

祛除病邪

针灸汤药

都是多余；

后人

患得患失

苦形伤外

名利物欲

懒惰不动

不顺应

时令节气

贼风数至

虚邪朝夕

小病必甚

大病必死

必须

针石治其外

毒药治其内

②《玉版》：

针者

上合之于天

下合之于地

中合之于人

夫治民者

亦唯针焉

九针之术与

天地、

日月、

阴阳、

四季相合

针甚骏，

以配天地，

上数天文，

下度地纪，

内别五脏，

外次六腑，

经脉二十八会

尽有周纪

能杀生人

不能起死

《九针十二原》：

小针之要，

粗守形，上守神

神乎神，客在门

刺之微在速迟

粗守关，

上守机

机之动，

不离其空

空中之机

清静而微

其来不可逢

其往不可追

知机之道者

不可挂以发；

不知机道

扣之不发

知其往来

要与之期

粗之暗乎

妙哉

工独有之

往来为逆，

来者为顺，

明知逆顺，

正行无问

迎而夺之，

恶得无虚

追而济之，

恶得无实

迎之随之，

以意和之，

针道毕矣

《宝命全角论》：

针有悬布天下者五，

一曰治神(养神之正)，

二曰知养身(强本)，

三曰知毒药为真(药性)，

四曰制砭石小大，

五曰知腑脏血气之诊

凡刺之真，必先治其神

(医患都要凝神静气/精神专一)

五脏已定，九候已备，后乃存针

众脉不见，众凶弗闻，外内相得

无以形先。可玩往来，乃施予人

人有虚实，五虚勿近，五实勿远

至其当发，间不容瞚

手动若务，针耀而匀

静意视义，观过之变

是谓冥冥(出神入化)

莫如其形(无我状态)

见其稷稷

从见其飞

不知其谁

伏如横弩

起如发机

针之理

是要把

不正常

的气血

回归正常、

荣卫复收

善用针者，

从阴引阳，

从阳引阴，

以右治左，

以左治右，

以我知彼，

以表知里

以观过与不及之理

见微得过用之不殆

③《针刺论》：

只要明了

天地常理

极尽针刺

就可除障

扶助正气

补其弱势

泻其有余

拯救百姓

脱离病苦

同时

刺法有，全神养真之旨

亦法有，修真之道

非治疾也

故要

修养和神

道贵常存

补神固根

精气不散

神守不分

即神守

虽不去

亦全真

人神不守

非达至真

至真之要

在乎天玄

神守天息

复入本元

命曰归宗

3. 施针之术

刺道：

凡刺之道

气调而止

凡用针者

虚则实之

满则泄之

宛陈而除之

泻胜则虚之

大要曰：

徐而疾则实

疾而徐则虚

言实与虚，若有若无；

察后与先，若存若亡；

为虚为实，若得若失

损不足而益有余，是谓甚病

刺之而气不至，无问其数

刺之而气至，

乃去之，

勿复针

针

各有所宜，

各不同形，

各任其所，

为刺之要

气至而有效，效之信，

若风之吹云

明乎若

见苍天，

刺之道毕矣

黄帝自己对

九针之术的刺法

整理集中在

《官能》

一篇之中

小小银针上

即能够看到

道医治病时

对于时机的把握、

对于本质的判断、

对于专注的素养

实际上

修身、齐家、

治国、平天下

又何尝不是如此

【シネマトゥデイ】追悼特集：藤原啓治さんが語った「野原ひろし」https://t.cn/A625OqM9

「クレヨンしんちゃん」野原ひろし役、「交響詩篇エウレカセブン」ホランド・ノヴァク役、映画『アベンジャーズ』シリーズのアイアンマン＝トニー・スターク役の吹替などで知られる声優の藤原啓治さんが4月12日に死去したことが所属事務所より発表された。

筆者は何度か藤原さんに「クレヨンしんちゃん」について話をうかがう機会をいただいたことがある。ここでは、他の媒体に掲載されたインタビューも含め、藤原さんがどのように「理想の父親」とも言われるようになった野原ひろしを作り上げていったかを紐解いてみたい。（大山くまお）

27歳で射止めた野原ひろし役と試行錯誤

1992年にスタートしたアニメ「クレヨンしんちゃん」。藤原さんがオーディションに合格して野原ひろし役を得たのは、声優としてのキャリアを歩みはじめて2年目だった27歳の頃。もちろん、父親を演じるのは初めて。35歳という設定のひろし役を受けたのは年齢層が高い人ばかりで、自分と同世代の声優はオーディション会場で一人も見かけなかったとか。

このときのオーディションは今では珍しい「掛け合い」で行われた。藤原さんは2組のしんのすけ候補の声優と掛け合いを行ったが、2組目でその後しんのすけを演じた矢島晶子さんとペアを組んでいる。

見事にひろし役を射止めた藤原さんだが、「お父さん役を演じるからといって、お父さんを意識したところで、自分に何ができるんだろう？」と感じていたという。当初はセリフも少なく、「ただいま」と言うだけの回も少なくなかった。

そんな中、放送が始まった2年目ぐらいの頃に壁にぶつかってしまう。ひろしを演じていて違和感を覚えるようになったのだ。作画や演出がどんどん変化しているのに、自分の演技がスタート当初から変わっていないことが原因だった。そのことに気づいた藤原さんは、半年ほどかけて試行錯誤しながら演技を変化させていく。

このときに藤原さんが気づいたのは「変化してもいい」ということだった。父親だから、夫だから、ひろしだからといって、何かにとらわれる必要はない。このことについて次のように語っている。

「『ひろしはこういう人です』と決めつけないようにしようと思っていますね。『ひろしはこんなことしないだろ』『こんなことしゃべらないよ』とは思わないように。演じる側の変なこだわりで、こぢんまりしちゃうのはマズいかな、と」（「クレヨンしんちゃん大全」（双葉社））

だからこそ、ロボットになろうが（『映画クレヨンしんちゃん　ガチンコ！逆襲のロボとーちゃん』）、ニワトリに変身しようが（『映画クレヨンしんちゃん　オタケべ！カスカベ野生王国』）、女装しようが（『映画クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード』ほか多数）、ひろしはひろしのままでいられたのだろう。

「このままではひろししかできなくなってしまう」

「クレヨンしんちゃん」は放送開始から半年もすると視聴率がうなぎ上りになり、1993年7月には歴代最高視聴率28.2％を記録。国民的人気作品として不動の地位を得たが、同時に藤原さんはある悩みを抱えることになる。

それは「カッコよさそうな役のオーディションの話がまったく来なくなった」ことだった。ひろしの役のイメージが強すぎて、所属事務所が候補に藤原さんの名前を挙げるだけで先方から断られることがある一方、一気に父親役が4つも5つも来ることがあった。30歳を過ぎたばかりの藤原さんにとっては死活問題だったはずだ。

「このままではひろししかできなくなってしまう」と焦ったが、「しんちゃん」という作品の幅の広さと、「変化してもいい」ことに気づいていたことが功を奏した。藤原さんはひろしを演じることで、演技の幅を自在に広げていき、どんどん新しい役を得るようになったのだ。

藤原さんは実績を積み重ね、実力派声優としての地位を不動のものにしていく。2009年のインタビューでは「いろいろな顔をもつひろしというキャラクターを通して、自分もものすごく成長したと思います」「ひろしを通していろいろな実験をすることもできたし、あれこれ試行錯誤した結果、27歳ではできなかったことを今やることができています」と振り返っていた（「声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント」主婦の友社）。

『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』のひろし

ひろし役を大きく膨らませていった原恵一監督との出会いも大きい。ひろしについて「男のいちばんだらしない部分を持ったキャラクターで、それを描くのがすごく面白かった」という原監督だが、なによりも藤原さんの声の役割が大きかったとも語っている。

「最初は出番が『ただいま』と『いってきます』くらいしかなかったのに、スタッフが藤原さんの上手さを知るにつれてひろしのウェイトが重くなっていったのは間違いないと思います」（「クレヨンしんちゃん大全」（双葉社））。余談だが、原監督は藤原さんとよく飲みに行っていたようで、お酒を飲みながらのトークイベントでは何度も「啓治、好き」と告白（？）していた。

原監督は劇場映画作品でもひろしをフィーチャーしていく。初監督映画の『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』では、ひろしが女刑事の東松山よねと二人で旅する旅情あふれるシーンや兄になったばかりのしんのすけに語りかけるシーンが印象的に描かれた。

藤原さんと原監督のコラボレーションの最たるものが、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』だ。「懐かしさ」で世界を支配しようとする組織イエスタデイ・ワンスモアの陰謀で洗脳されてしまったひろしが記憶を取り戻すシーンは、大きな感動を呼んだ。

しんのすけに嗅がされた自分の靴の匂い（ひろしの足は武器になるほど臭い）によって、ひろしは35年にわたる自分の人生を回想する。大きな父の背中を見ていた子どもの頃、淡い初恋と失恋、上京と就職、みさえとの出会い、長男しんのすけの誕生、マイホームへの引っ越し、どんなに仕事で疲れ切った日でも温かく出迎えてくれる家族たち。いつしか幼い頃の自分のように、しんのすけが自分の大きな背中を見つめるようになっていた。すべてを思い出して、ひろしはむせび泣く。そして組織のリーダー、ケンに向かって「オレの人生はつまらなくなんかない！」と言い切るのだ。

藤原さんもひろしを演じていて最も印象的だったシーンとして『オトナ帝国の逆襲』の回想シーンを挙げている。「収録時は亡くなった父親の姿が常に頭の片隅にありました。誠に勝手ながら、この作品を尊敬する私の父親に捧げています（笑）」（V-STRAGE「しんちゃん通信」スペシャルインタビュー「野原ひろし役藤原啓治」）。ちなみに、最後の「（笑）」は藤原さんが付け足したもの。きっと照れくさかったのだろう。

「普通に家族を守るのって、たいしたことだよ」

ひろしについて「すごくカッコいい男だと思います。あんなバタバタした日常を受け入れて、カラリと生きることができるなんて、現代においてかなり強い人間だと思います」（DVD「クレヨンしんちゃん きっとベスト 凝縮！野原ひろし」ライナーノート）と語っていた藤原さん。器が大きくて、イヤミなところがなく、後ろ向きにならない。そして人間臭い男だという。

藤原さんは「憧れとしては、（野原）ひろしに、なりたいんですよね」とはっきり言う。「『家族を守ること』も『人類を守ること』も“ヒーロー”の根底は一緒な気がします。サラリーマンでああ見えて、ひろしも身近な1人のヒーローなのだなと」（ORICON NEWS、2018年4月22日）。ちなみに自身にとってのヒーローを問われた藤原さんは「両親」と答えている。

筆者が藤原さんに世の中のお父さんたちへのメッセージを求めたところ、次のような答えが帰ってきた。

「『普通に家族を守るのって、たいしたことだよ』ってことですね」
「僕にとっては当たり前じゃないことが、世界中で当たり前のこととして行われている。それってすごいことだと思います」

藤原さんが演じることによって、野原ひろしは世界で一番身近なヒーローになった。当たり前じゃないことを、さも当たり前のように、必死になって毎日のようにこなし、家族を守るために奮闘する父親、母親の姿を映し出しているから、「クレヨンしんちゃん」という作品は今も変わらず人気があるのかもしれない。

藤原さん、本当にありがとうございました。